「あんたご飯どうすんの?」
 
 
しばらくして、母親が部屋をノックして来た。
さっきから腹は鳴ってるし、減ってはいるんだろうけど、何だか食べる気がしない。
 
 
「いいや、食欲ない」
 
 
ドア越しに、そう答えると、母親は、
 
 
「本当に具合悪いの?病院行く?」
 
 
と聞いて来た。大丈夫だからとか言い、なんとか納得させて、母親が下に降りて行く音がしたので、ほっと胸を撫で下ろす。
 
具合悪いと言って、病院なんか行ったら、夕方キナちゃんに会いに行けなくなってしまう事が目に浮かぶ。