「俺さぁ…お前がプリクラ見せて来た時、アキちゃんが…まさかキナちゃんの姉だったなんて思わなくてさ…
名字も清水だったし…
キナちゃんに嘘付かれたと思った。
お前とキナちゃんが付き合ってるかと思っちまって…
“彼氏居ないなんて嘘つくな”
なんて…
訳分かんなかっただろうな…
そんな事言っちまって。
泣いてるキナちゃん…突き放しちまった。
最低だ…俺」
 
 
それきり黙って下を向いた。
これ以上話していると、涙が零れてしまいそうだった。
 
 
「あら?どうしたの?まだ入ってなかったの?」
 
 
突然の稔のおばちゃんの声にハッとして、急いで潤んだ瞳を拭う。
 
 
「あ…いえ…あの…」
 
 
ドアの向こうで、おばちゃんとは違う声が聞こえた。 
稔は1人っ子だし、誰も居るはずがない。
稔の知り合いでも来たのかと、回らない頭で考えていた。
 
しかし、何故かその声に懐かしさを感じた。