携帯を閉じて、新しく来たビールをまた一気に飲んだ。
冷静になれたとは言え、やはり心臓はバクバク鳴っている。
 
 
「生一丁〜!」
 
 
少しクラクラしながら、気分良く、またさっき頼んで貰った奴に話し掛けると、
 
 
「神越〜!お前ピッチ早ぇよ?倒れんなよ?」
 
 
と言われた。
それに対し、大丈夫!
とだけ答え、微笑みながらデンモクに目をやった。
心配されるのは、正直嬉しい。
 
 
「アキちゃんもうすぐ来るって!早く会いたいなぁ…」
 
 
部屋に入って来た稔の、その単語をまた聞いて、心臓が一気に締め付けられた。
 
 
「そーなんだ?早く来るといーな!」
 
“悟られるな!平常心!”
 
 
さっきまで普通に笑って、デンモクを見ていた。でも今は、頬の筋肉が痛い。
 
 
“笑ってないと”
 
 
全神経が、頬に行ってる様な。
そんな感覚だった。