いつの間にか、式が終わったらしく、バラバラとだが人が出て来た。
 
外に居すぎて寒さに慣れた俺達とは違い、口々に寒い!等の言葉が聞こえた。
 
 
「そいやぁ慎ちゃんは同窓会に奥さん連れて来んの?」
 
 
稔が、慎二に聞いた。
 
 
「いや?…悪ぃけど俺パスだわ。今、託児所に娘預けてお互い式来てるんだけど、夜は預けらんないから。嫁が娘の面倒見るから行って来いっつってたけど、アイツも行きたいの我慢してる訳だし、2人で祝うのもいいかなって。…ごめんな」
 
「慎ちゃん…俺惚れちゃいそうだわ」
 
「カッコイイなお前…」
 
 
慎二の言葉に感動した俺達は、ただただ無意識に言葉を漏(モ)らしていた。
 
そんな俺達の言葉に照れた様子の慎二。
 
 
「ありがとな(笑)
…んじゃ悪いけど、他の奴らに挨拶したら帰るわ。ごめんな。また今度時間取れたら飲みでも行こうぜ」
 
「おう!またな」
 
「じゃーね、慎ちゃん」
 
 
そうして慎二は人込みの中へ消えて行った。
 
 
「俺、慎ちゃんの嫁になってもいいかも(笑)」
 
「いい顔してたなアイツ」
 
「女だったら惚れてたかも(笑)」
 
 
友達の良い意味での変化に嬉しくて、俺と稔は、しばらく幸せな気分に浸(ヒタ)っていた。