卒業してからもう2年。俺は早生まれだから19歳だが、ツレや美紀はもう20歳。成人だ。
 
 
「これがいいんじゃない?」
 
「別にどれも一緒に見えるけど…」
 
「ばっか!あんた…折角の一生に一度の式なんだから、目立たなきゃ」
 
 
今、母親と成人式のスーツを選びに来ている。
適当にスーツ買って済ませようとしていたら、
 
 
「あんた1人でなんか行かせないわよ!」
 
 
なんて言いながらついてきた。
 
 
『それにしても、嬉しそうだな…』
 
 
張り切って選びまくっている母親の手には、いつの間にかピンクの袴が載っているカタログ。
どこからそんなモン持ってきた。…まさかそれが良いとか言いませんよね?
 
 
「これ、優夜に合うんじゃない?」
 
「…やめてくれ」
 
「こういうの好きなんだけどなぁ…」
 
 
却下だ却下!
稔ならまだしも、そんなの着る勇気なんてありません。無難にスーツだろ。
 
 
「優夜買いに来るの遅いわよねぇ…いいの残ってないじゃないの」
 
「どれも同じじゃん」