苦しくて、苦しくて…息が上がって呼吸もままならなくても。
それでも走り続けた。
 
 
しばらく走って、もう走れないと思いかけた瞬間、見慣れた後ろ姿を見つけた。
 
 
「…み…はぁっ、美紀!」
 
 
驚いた様に振り返ったその顔を見て、俺はどれだけ美紀を傷付けて来ていたのかと気付かされた。
 
肩を震わせ、泣きすぎて…走った俺より呼吸が出来てない美紀。
 
人が皆振り返って、美紀を見て行く。道の真ん中で、それでも我慢出来ずにに泣いていたのかと思うと、胸が痛くなった。
 
 
「…美紀」
 
「優…やぁ…。ごめ…泣くっ…つもりなんて…無かったの。ごめっん…困らせっるつもり…なんて…無かったの…」
 
「いいから。もう喋んなくていいから。今までごめん。待たせてごめん!美紀…お前が好きだよ」
 
そう言って、泣きじゃくっている美紀を抱きしめた。出来る限りの力で。
 
 
「ほんっ…に?」
 
「ほんとに。待たせてごめん。待っててくれてありがと」
 
 
また震えだした美紀を強く抱きしめた。
ただただ…抱きしめる事しか出来なかった。