「今まで…ありがとう。大好きだった」
 
 
キナちゃんの額に、キスを落とした。
 
 
「次会う時は…」
 
 
笑って会えるといいな、そう言いたかったが、キナちゃんを見ると、目に涙を溜めていた。
 
 
「…や…。嫌だ!」
 
 
泣き出したキナちゃんに背を向けて、俺は自転車に跨がり、遠ざかった。
 
 
稔から奪い取る勇気も無く、キナちゃんへの気持ちを消化出来ずに、抱きしめてキスまでしてしまった。
 
 
自転車を漕ぎながら、1人歯を食いしばり涙を堪(コラ)えた。