左手で落ちない様に、ジャケットの下の方から子猫を支え、右手で食う物無いかとポケットの中を探してみる。
　
　
「おっ、何かあったぞ！」
　
　
子猫には、俺の言葉なんか分かる訳無いだろうけど、何故か声に出して話し掛けてしまう。
　
　
「あ………」
　
　
ポケットから出て来た物を見て、無意識に声がもれた。
　
　
そこにあったのは、昨日買った、母親に渡し忘れたネックレス。いや、母親に買った訳じゃないんだけどさ。
　
　
「ごめん。食うモンねぇや。家帰ろうな？」
　
　
そう話し掛けて、家路に向かった。