―もう彼女には付いていけないかもしれない。
僕は湯船につかって
ぼんやりと考えていた。
もう彼女と付き合って1年になる。
そろそろ限界なの…か………
「あ"っっっ」
不覚にもこんな声が出てしまった。
だけどその時の僕にとって
そんなことどうでも良かった。
僕は急いでお風呂から上がり、
服を来て携帯を開いた。
23:50
あと10分で今日が終わる。
僕は勢いに任せて玄関を飛び出し、
無我夢中に彼女の家まで走った。
彼女の家まで歩いて20分
どうしよう。
間に合わないかもしれない。
深夜なので街灯はほとんど消えている。
人も誰ひとりとしていない。
ああ、あの角を曲がれば
彼女の家が見える。
まず土下座して謝ろう。
そして力いっぱい抱きしめて
優しくキスをしよう。
それでも許してくれなかったら、
ありったけの愛の言葉を捧げよう。
あと、2分。
彼女と僕の1年記念日。