大学に馴染めなくて、一人で過ごしている莢。そんな彼女の前に現れた航は未来からやってきた莢の息子。
理由は違えど、互いに孤独を抱えている二人の間に流れる穏やかな時間。その時間もまた大切ではあるのだけれど、将来不幸になるから、と航に止められていたのに、莢は将来の夫、航の父と言われた三島と少しずつ親しくなってしまいます。
クリスマスの日、一人になることを恐れず三島に「彼女のところに行ってあげて」と言った莢は強くなったのだと思います。
作中、印象的に使われているのが、プリクラです。撮ったきっかけはほんのささいなことなのですが、莢はそれを大切に、航が教えてくれた未来を繰り返さないように違う道を歩いていけるのではないかな、と思います。未来に出会う運命の人は航の父である人とは違う人かもしれませんが。爽やかな読後感です。