航はただ黙って話に耳を傾けている。

「彼から“俺とつきあわない”って言われたんだけど、断った。

ついでに彼女に寂しい思いをさせたことを謝りなさいって、言っておいた」

あたしが言ったら、
「そう言うことか…」

航が呟いた。

「えっ?」

何が?

思わず聞いたら、
「いや、断ったんだなって」

航が答えた。

そう言った航に、、
「当たり前でしょ?

彼女がいるのに他の女に目移りした男とつきあえる訳ないでしょ」

あたしは笑いながら言った。

航もクスリと笑うと、
「だよね」
と、言った。

「はい、できたよ」

航の前に温めたシチューを置いた。