どうして…?

あたしは、信じられなかった。

「莢」

ドアの前に立っていたのは、
「――航…」

彼だったからだ。

好きで好きで仕方がなかった航の姿。

愛しい彼の姿に、あたしはどうしていいのかわからなかった。

でも彼が目の前にいたと言う驚きよりも、嬉しさの方が大きかった。


「それで、どうしたの?」

昨日の残り物のシチューを温めながら、あたしは航に聞いた。

懐かしい光景だった。

航がリビングにある椅子に座っている。