そんな様子の彼に、あたしは見られてしまったと自覚した。

三島くんと一緒にいるところを、三島くんと一緒に話していたところを、航に見られてしまった…と。

「――航、これはその…」

言葉が続かない。

いや、続いたとしても何が出てくると言うのだろうか?

航は悲しそうに目を細めると、あたしに背中を見せた。

「待って!」

その場を走り去って行った航の背中を追おうとしたけれど、すぐに腕をつかまれた。

「三島くん…」

「遅刻するぞ」

三島くんに腕をひかれるまま、あたしはその場を後にした。