「 これ 上に差し込めばいいの?! 」
「 俺こっちからやるわ 」
「 丈長くないか? これ! 」
「 一応、カーテン屋まで行って
聞いて買ってきた
耐火とかなんとか 」
「 だからこんなに時間かかったのね 」
個室の中
皆の手に拡げられた、薄いピンクの布
「 よし
―― ミツコ ちょっとゴメンな
ベットの上、乗るぞ 」
それまで無表情に
オレ達の作業を見ていたミツコの目が
高い位置に運ばれ始めた手元を
不思議そうに追う
少しホコリの溜まった、窓の上のレールを
言わずとも看護士さんが
濡らして持って来てくれたゾウキンで
数回、行き戻りしながら拭いて行く
「 ミツコ、一応もう少し
こっちおいで 」
ケータイをいじったりして
すぐに道路に飛び出すミツコを
怒りながら、歩道に引っ張る比奈らしく
軽くその口を抑えて
ベットの端に移動させた
「 …なんか
やけに着けるの早くねえか? 空哉 」
「 母親がしょっちゅう
模様替えするからよ
ウチで途中からは
オレが一番、背高かったから
家の中の全部 変えてたんだわ 」
「 大変だな おい 」
「 マジで〜?! 真木の実家
かなり大きいし部屋数なかった?! 」
皆、裾を持ってくれながら
まるでそれが学園祭の準備みたいに
次第に賑やかに 笑い声があがる
「 ―――― おお !! 」