時間は

面会時間ギリギリ



暗幕持つ時も そう思うけど
布って結構重い



秋は 日が落ちるのが早くて

後ろから聞こえる、高速道路からの
車が走る音

ビルと街路樹の上から覗く
病院のデカイ看板


排気ガスで煤けていた、白い建物は
庭の水銀柱と、病室のあかり

黒いシルエット




車が入って行った門


少しだけ、そこで足を止めて
指に食い込んでいた
黄色いビニール袋を、一旦地面に置き
息を吐いた




「   真木!! 」


「 空哉!!! 」




バタバタと
夜の中、近づいて来る、複数の足音と声



熱くなった体に
冷たい手がいくつも降って来る



「 …なんだ オメエら

まだ帰ってなかったんかよ


―― 家の人、 心配するぞ

比奈も、門限あるんだろ 」



「 学園祭の準備で
少し遅くなるって、電話したし平気!

それより空哉 一体どうしたの?! 」


「 ――― これ  」



膝に手を着き
買って来たモノを、握って前に出した


「 え… なにこれ 」




「 中 行こう 後 5分だから 」