涙ぐみながら
『これ、ちりめんでね?!』と
笑いながら説明する比奈


那智も上着の内ポケットから
細長い包みを抜き

そして



「 山瀬 ―― こいつ、
どれくらいで治るんだ 」


そう呟き、ミツコの膝の上に置いた




山瀬は自分の爪を見ながら
冷静に話し始める




「 完全に元通りは、多分無理だな 」






「 …無理って… 」


那智
そして比奈の体が、ビクリと止まる





「 ―― 使用期間

それが長かろうが短かろうが
脳が破壊される事に、変わりは無い


ミツコの場合、調べてみたら
使い始めたのは

……… 中1からなんだ 」




「 ――― え … 」





「 最近は、
少しづつ
成分を弄った薬が出回り始めていて
その構造を調べれば、
大体の流通ルートは判る


ミツコが部屋に隠してあったのは
あるルートに限った薬物で


最初
ミツコに薬を勧めたのは

家庭教師だった、当時大学生だった男だ 」