「 おっかけろ!!
ダンスパーティー、誘いたいんだろ?! 」



「 で、でも今って… 」


「 いっといでよ こっちはいいから!
先輩モテるから、
早くしないとヤバイよ?! 」



優しくて気の弱いタマが
いつもとは立場が逆転したように
リーダー気質の佐和子の背を叩く


佐和子は小さく頷き、
意を決して廊下を走った




三野輪が目をギュっとつむり
「 …うまく行きますように 」と
胸の前で指を組む




「 上手く行くだろ 多分 」


オレがそう言うと、
三野輪が不思議そうに
首を傾ける



「 え… どして? 」


「 確率の問題

先輩と佐和子は、同じバスケ部

三年は受験もあるから
学園祭は 有志しかやらないじゃん

しかも運搬係とかさ
一番皆が嫌がるし、角材だって
放課後、各クラス取りに行く事になってた


葛城先輩は
実はそんなにボランティア気質じゃナイ 」



「 …そんな感じの先輩が
わざわざウチのクラスまで
持って来てくれた って事だよね… 」


「 おう

わざわざ遠い、資材置き場のトコからな 」




少しして
二人で戻って来た佐和子と先輩


先輩は扉の所で、
佐和子に手を振って去り
佐和子本人は、ボー然とした顔で
教室の中に入って来た



「 さ、佐和?! 」

心配して、その姿を囲む三野輪とタマ


佐和子が呟いた言葉は小さく
教卓で書き物をしているオレの場所まで聞こえなかったけど


三野輪とタマの
歓声をあげ、泣き出した様子で

明るい結果と、すぐに判った






「 ね 何で急に、ダンスパーティー

復活になったんだろう? 」


ベニヤ板に、一度全面、白を塗り
青いペンキを混ぜながら
湯浅がメガネを中指であげる