「 那智 」
――― 屋上
ボウッとした顔で
コンクリートの床に横たえていた体
顔だけこっちに向けて、
手を仕方なさそうに振る
「 … よお 真木
真田、弁当食ってた? 」
「 食った、よ ご馳走様でした 」
「 …なんでお前ら三人、全員来てんだよ
…下で皆と食ってりゃいんだ 」
「 意外だった!
那智がお料理上手だったなんて 」
那智は湯浅のそれには答えず
また横になって、顔をフイと
向こうに回す
「 …… 真田 」
「 う、 うん 」
「 … 毎日絶対、弁当作ってやるから
絶対、痩せろよ
風呂は約束通り、
毎日入ってるみたいだし
―― いざとなりゃあんな風に
行動力もある
お前はすごい、いい男になるから 」
真田は困った様に頭を掻くと
「 …ちょっと電池買って来る 」と
立ち上がり、貯水槽下の
階下へ続くドアに向かった
湯浅はそれを、ノンビリ笑って見つめる
「 真田は、…俺にとっては
ずっと、いいやつだよ
―― お風呂さ
あんまり好きじゃないのは
小さい時、海外で
洪水にあってからなんだ 」
「 洪水? 」