救急車の音

到着したのか、それが忽然と止まる



救急隊の人達が、
タンカを持ってやって来た


―― 意識を失った人間の体が
こんなに重くなる事を初めて知る


真田が持って来てくれた
体を温めていた毛布を
花さんの体の下に入れ

その場にいた全員の男達で
渾身の力を使って、タンカに乗せた






静かなアイドリングの音

中からどこかに連絡しているのか
冷静な感じの、話し声がする





「 付き添いの方 乗って下さい 」


「 わ、私が!!
同じ教員の柏です!! 」



「 お、俺も、行きます 」



真田が声をあげた



「 君は? 身内の方? 」



「 一番近くの、
真田脳外科に運んで下さい
俺の叔父が医院長です

受け入れてくれる様に、連絡します 」


「 わかりました 」




ざわざわと
自動ドアから生徒が出て来た




「 真木ちゃん、みんな、に 」


「 おう


――― 待ってるから、連絡くれ 」



「 うん 」



後部が開かれた救急車
柏と真田が、両脇の席に乗り込み

白衣の隊員さんが後ろを閉め
再び赤い光を照らし、音を鳴らして、
ホテル前から走り出して行った