「  真田…?  」



大きな体で、
狭いトイレに集まる人間を押しのけて

その手には、一枚の毛布




「 ま、真木ちゃん

これで、体包んであげてください 」


「  オッケ  …後する事あるか? 」




真田は腕時計を見ながら
花さんの手首に、指をあてる



「 ―― えと…

今日の昼間、花さんと一緒にいたの、」



「 わ、わたしっ!! 」



「 …… あ、えと

… 血圧が、一気に

えと、 昼間、…コップ落としたりとか
なんか、変わった事なかった?

頭痛い っていってるとか 」



「 いっ 言ってた!!


頭、ちょっと抑えてたから
鎮痛剤あげたの!! 」



「 その薬、は、今 手元にある?」


「 ある!!
部屋にあるから持って来た方がいい?! 」


「 えと、それを
救急車の人が来たら渡して下さい

医者に、渡してくれるから 」



「 わかった!!持って来る!! 」



「 あ! ――…あの、後

確か花さん、頭の、傷の薬と
血圧の薬、飲んでるはずなんだ 」


「 へ、
部屋行って花さんのバック漁って捜すね!! 」



佐和子がバタバタと飛び出す




「 脳出血とか…うなってないか
心配だったんだけど… 」



「 うなるのか 」





「 うん…

花さん、ケガしてるでしょ

表面はよくなっても
傷付いた内部は、治るの遅いから ――



… 脈、すごく早い

血圧多分、あがってるんだと思う

きちんと医者に見てもらわないと
わからないけど… 」