急いで電話を代わって貰って
挨拶の向こうでは、
言葉ない 鳴咽が続いている
困ってしまい
湯浅に携帯を返した
「 …ぽんぷさん
しばらくこのままでいるから
少し、『アート』の衣裳の事話すよ
え、うん
俺もそうできないか考えてた
――― 大変かもしれないけど
頼んでみるからね 」
湯浅はコトンと、携帯をテーブルに置いた
通話状態のままだ
「 …大変って、衣裳? 」
「 うん アートがマザアと戦った時の
ロングコートに、機械の骨と
羽根が混じった感じのこれ 」
「 …似たような服、あるぞ
実家に一回戻らないといけないけど 」
「 …完璧に再現したいって
ぽんぷさん、言っててさ
それで、またお願いがあるんだけど 」
「 …こうなったら何でも聞くぞ
アートはこんな喋り方しないってんなら
本番は黙ってる 」
「 あははは
――― あのさ
ちょっと変わった衣裳師がいるんだ 」
「 服作る人か 」
「 うん
… 着る人の体に合わせて
オーダーメイド? 」
「 おう 」
「 指定された所に出向いて
キチンと採寸する事が条件なんだ
生地やラバー系、
…多分、この骨の再現位なら、
してくれると思う 」
「 …再現って 」
「 ―― 出来る人がいるんだよ
うちに、
その人に作って貰って
コスプレした人の画像あるから
今夜にでも送るよ
元々はドールや、その服作ってたみたいで
でも、ドールの服作る方が
難しいんだよね
その方 " ハルト "って名前でさ
それ関係の人には
『 神 』って言われてる 」
「 おー… 」
「 もう… ちょっと電話してみようかな
サイト作ったりしてくれてれば
楽なんだけどさ… 」
そう言って湯浅は、
『一回切りますね』とボタンを押し
かなり緊張した面持ちで
携帯の画面を開いた