乃里子と剛志の間には沈黙と緊張感が漂っている。


「…乃里子、俺…」


剛志が乃里子に近付く。


今度は乃里子も逃げずに、剛志を見つめている。


「俺、こんなんだし…
乃里子に色々迷惑かけるだろうし…
乃里子を困らせるし…」


「…本当よ。
まさか…
剛志がこんな事するとは思わなかった。」


乃里子は苦笑いを浮かべた。


「…ごめん。
でも、どうしても言いたくて…
俺、初めて廊下で乃里子と会ってからずっと…
ずっと乃里子の事が気になってた。」


「…覚えてたんだ…
あの日の事。」


「当たり前だろ?
どんな子何だろうって…
コンタクト落としたくせに、普段は眼鏡だし。
訳わかんないけど、なんか気になってた。」