廊下に楽しそうな笑い声が響いている。


「…あの馬鹿っ!」


乃里子は放送室に向かって駆け出した。


「あっ、白石さんだ!」


「乃里子ちゃんだぁ♪」


走り抜ける乃里子を、周りの生徒はニヤニヤと見つめている。


「もぅ…最悪!!」


乃里子は不機嫌そうな声を上げながらも、口元には笑みが浮かんでいる。


『乃里子!
このまま言うぞ!?
良いのか!?』


「今向かってるわよ!」


乃里子は髪の乱れも気にしずに走った。


途中の曲がり角でつまずいて、眼鏡を落としてしまったが気になんかしていられない。


メイクも落ちて、頬が紅くなっている。


それでも放送室に向かって、剛志の元へ全速力で走った。



…−−−…