『乃里子!!
校内にいるんだろ?
いつまでも隠れられると思うなよ!?』


イライラと話す剛志の声に、乃里子は思わずスピーカーを睨みつけた。


『俺が…
俺が悪かった!』


「えっ!?」


乃里子は驚いてスピーカーを見つめた。


『俺、今まで特別な人なんていなかった…
俺が誰かを守りたいなんて思ったら…
相手が可哀相だと思ってた。』


乃里子は黙って剛志の言葉に耳を傾けていた。


『俺は…
誰かを好きになっちゃいけないんだと思ってた。
だから…
俺の事も、誰も好きになってくれないと思ってた!』


「剛志…」


『だから俺、乃里子に『忘れろ』なんで言っちゃったんだ。
じゃないと、自分を抑えてられなかった…
あんな形だったけど、嬉しかったんだ、本当に。』