梓は乃里子のカップにコーヒーを注ぎながら言った。


「もしかして、中野澪って人知ってます?」


「…中野?」


梓は首を傾げた。


「あっ、結婚したから中野なんだ…
確か旧姓は…」


「…土方?」


「そう、それ!
土方澪。」


乃里子が言うと、梓は優しく目を細めた。


「懐かしいわね…
澪先輩かぁ♪
憧れだったのよね…」


梓は夢見心地に言うと、はぁと息を吐いた。


「やっぱり♪
前に澪ちゃんから、梓さんの事聞いたことあったんですよ。
やっぱり梓さんの事だったんですね?」


乃里子が微笑むと、梓は恥ずかしそうに笑った。