「…という訳だ。
何とかしないと、梓が旅に出ちまうぞ!?
良いのかよ?」


剛志はストレートに剛介に尋ねた。


剛介は偏屈だから、理屈だ何だ言っても通用しない。


「旅かぁ…
良いのぅ。」


剛介は心底羨ましそうに言うと、煎餅をかじった。


「…じいさん…」


剛志はガクリと肩を落とすと、机の上にある煎餅を取り上げた。


「何をするんじゃ、返さんか。」


剛介は呑気に煎餅の心配をしている。


「頼むから真面目に考えてくれよ!
何が原因何だよ!?」


剛志は思い切り机を叩いたが、剛介は驚きもせずに顔を背けた。


「内緒じゃ。」


「はぁ!?」


これから何回このやりとりを繰り返すのかと思うと、剛志は頭が痛くなりそうだった。



…−−−…