「……!」

クルーエルは絶句した。
ラディウスは無表情にそこに立っているが、その格好は異様ではあった。

「ラ、ディウス?」

「しばらくはルナで頼む」

「あ、うん。ルナね……ってラディウス女の子!?」

金髪になった髪を背中にたらし、眼帯をあっさりしたものに変え、服装は茶色の外套にしても、飾りが女物で、一見するととても男性には見えない。
そもそも体型が女性のそれになっている。
声まで中性的なものだから、ますますわかりにくい。

「一応男だ……」

ラディウスもさすがに居心地が悪いのか顔をしかめて自信なさそうに言った。
確かに顔が良すぎて男なのに女に見えるっていうのは嫌なものなのかもしれない。

「こうして見るとお姉様の再来じゃのぉ……」

アルミナもただ呆気にとられていた。

「そういえばお姉様ってなんなの?」

「ほれ、この前も言うたであろ?こやつは跡継ぎ争いに発展するのを恐れた王によって12歳まで王女として認識されておったからの」

アルミナはどこか遠い目で、懐かしむように言った。

「帝国に来たときはまだ王女での。やたら大人びて、身の程もある剣を盗賊相手に振り回して……。妾はルナに一目惚れしての。お姉様お姉様と懐いておった……。髪を伸ばしたのもルナの影響だったの……」

「……」

クルーエルは黙ってラディウスを見上げた。
ラディウスはクルーエルの視線から逃げるように顔を背けた。
ちょっと傷ついたが、ラディウスの気まずそうな顔で折り合いをつける。
――痛みわけだ。