「ねぇ雛」




気付いたら、柚と明澄があたしの前に立っていた。




「…何?」
「さっきからどーしたの?ボーっとして」



あっ…あたしってば。
ボーっとしてたんだ…。






「何でもないよ」





…本当は…なんでもなくない。
体育の時間…。





誰かのあの言葉が、蘇っていた。






“ぶっちゃけさぁ、雛ちゃんより茜ちゃんの方が上手いよね”





空耳だと思った。
そう信じたかった。





だって、そうしないと…茜を恨むことになる。






友達を恨みたくない。