「ジンー。今から、お弁当作るからさ、散歩に行こうよ!ねっ!
レジャーシートも持って、お花見とか!ジンのスキなハンバーグも作るから。」
無理やりテンションを上げて言ってみるが、返事が返ってこないから、まるで独り言のようだ。
「さぁ!頑張って作るぞぉ!!」
……何とも虚しい。誰か、リアクションして…………。
何とか明るいテンションを保ちつつ、ジンの部屋の前から立ち去ろうとした。
その時、立ち上がったジンは私の腕を掴んだ。
振り返る。
真っすぐな瞳が、ただ真っすぐに私を見つめる。
背の高いジンが一歩一歩と近づいてきて、私を見下ろしていた。
「な、なにっ!?」
瞳を逸らすことも出来ず、私は後退り……けれど、すぐに壁に当たって行き止まり。
ジンの表情に、愛嬌いっぱいの笑顔はない。
真剣な眼差し。
私の背中がくっついていた壁に、ジンが手を置いた。
まるで、閉じ込められたみたい…。
ジンはゆっくりと屈みこんできて、
キスされる!、と思った私は思わず俯く。
瞳を、きゅっと閉じた。