文句のつけどころがない、完璧な笑顔だ。
けれど、捻くれた私は、どうも胡散臭く感じてしまう。
パッと見、肉食系男子だな。パッと見ね。
………でも、この男、どっかで見た事ある気がする。
……あれ、…どこだっけ??
記憶の糸を辿っているうちに、エレベーターは51階へと到着した。
背の高い男は背中も広く大きく、歩幅もデカい。
男の後ろを歩いていると、彼は自分の部屋の前で立ち止まり、鍵を開けた。
偶然にも、男の部屋は私の部屋の隣。
その、すぐ向こうが私の部屋だったのだ。
「お隣だったんですね。」
男に負けじと、私も営業スマイルを顔に張りつけてみる。
「え!?そうなんですか!あっ、実は俺、最近越してきたばかりなんです。」
「そうなんですか。」
「沢崎と言います。」
完璧な笑顔を振りまく隣人・沢崎さん。
ま、眩しいっ!!
少女マンガで言えば、キラキラお星さまが飛んでる感じ。
……まぁ、でも、ウチのジンの美男子ぶりには負けるけど。