桜助が家に来た夜から、ジンの様子が可笑しいのだ。
ご飯を作っても、まるで食べてやってるみたいな態度で……ウンともスンとも言ってくれない。
怒っているような、拗ねているような。
ジンの部屋は元・物置の六畳のフローリング部屋で、そこを片付けて使っているのだが、ふわふわのタオルケットに包まって、ほとんど引きこもっている。
……昨日なんて酷いモンだった。
機嫌を直そうと思って、私は精一杯の勇気を振り絞って言ったのだ。
― 「ジン、シャンプーしてあげるから、おいで。」
………なのに。
なのに!!あのバカ犬ときたら、チラリと振り返っただけで、そのままタオルケットに包まってゴロリと横になりやがった……。
ジンが今までしてくれていた掃除や洗濯を放棄したおかげで、私の部屋はまたゴミ屋敷に戻りつつある。