足早に、自分の部屋へと向かった。
先ほどと違い、すっかり静かになって音は止んでいた。
「ジン……?」
そう言いながら、私は扉を開けた。
暗闇の部屋の中、
ジンは腕を組んで壁に凭れかかり立っていた。
「ジン?」
ジンは私を見つめる。
その瞳は真っすぐで……。
真っすぐすぎて。
初めて見る眼差しに、私はドキリとした。
怒っているのか、不機嫌なのか。
そういう類の瞳の色だったのだ。
その中で、囚われたまま身動きもできない私。
自分の鼓動の音だけが、耳に響いていた…………。
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