唇と唇が触れる寸前。
その瞬間、バンッ!!という物凄い音が響き渡った。
驚いて、動きを止める桜助。
音は、私の部屋からだ。
バンッ!!バンッ!!
ドンッ!!バンッ!!!
扉が揺れている。
まるで、体当たりでもしているような…………ジン?
そこで、私はハッとした。
「帰って!!」
「え!?」
「知らない人の匂いがして興奮してるから!!早くっ!!」
「はっ!?何コレ!?翼が飼ってんのって大型犬?」
「いいから早く!!」
私はソファーに投げ出された桜助のカバンを拾い上げると、玄関の扉を開けて外へ放り投げた。
「なっ!?おい!!何すんだよ!?」
慌てて駆けてきた桜助が外へ飛び出す。
「私、やり直すつもりはないからっ!!二度と来ないで!!」
「おい!翼!!」
私は、桜助の言葉を無視して勢い良く扉を閉めて、鍵をかけた。
扉に凭れかかったまま、溜め息を吐き出す。
………マジ疲れた。
……超疲れた。
けれど、ジンが気になる。