「ただいまー。」
学校から帰ってくると、私はそう言うようになっていた。
「おかえりー!」
ジンは、走って玄関までやって来る。
「ツバサちゃ〜ん!」
「…………。」
ぎゅうっと抱きしめられると、自分の心が縮んでいくような気がした。
ジンの大きな身体は、すっぽりと私の身体を包んでしまう。
ご主人サマが帰宅すると、玄関までしっぽを振って駆けてくる愛犬。
「…ジン、苦しいって。」
「会いたかったよ!」
ジンはそう言うと、私の額や頬にキスをしまくる。
「ちょっ!コラッ!」
抵抗する私を、簡単に捕まえて逃がしてはくれない。
この大型犬の愛情表現は、まさに犬並み………。