片付けられて、すっかり広くなったリビングとキッチンを行ったり来たり。
ジンが置いていった紙切れを見ては、溜め息。
そうしているうちに、焦げ臭い匂いに気づいて、私はハッとした。
慌ててキッチンへ向かうが………。
炒めていた色鮮やかなパプリカと牛肉は、真っ黒になって干からびていた。
私は、また、大きな溜め息を零す。
……どうしよう。
いくら何でも遅すぎない?
もう、あれから1時間が過ぎている。
整った顔をしているし、愛嬌あるし…………まさか、誘拐?
それとも、メスに誘われた?
綺麗なお姉さんに拾われて、ついていった?
嫌な想像ばかりが頭の中を巡る。
ご飯とお味噌汁、サラダと黒焦げになってしまったパプリカと牛肉の炒め物をテーブルに並べて、私は頭を抱える。