家に帰り、部屋の鍵を開けると、なぜだか室内は真っ暗だった。
電気をつけて、周囲を見渡すがジンの姿がない。
「ジンー?」
キッチン、私の部屋、バスルーム、トイレ、ママの部屋…………どこにもジンはいない。
バタバタと部屋中を駆け回っていた私は、リビングのテーブルの上の紙切れに気づく。
慌てて手に取ると、
一言だけ書かれていた。
― 散歩。 ジン ―
「…………。」
あのバカ犬!!
どっと疲れが襲う。
心配して損した。
いなくなったのかと思ったじゃん!
……いや、別に、いなくなろうが関係ないけどっ!!