自慢じゃないけど、私はかなり寝起きが悪い。
ちょっとやそっとの物音じゃ起きないし、一度眠ってしまうとなかなか起きられない。
朝は大の苦手なのだ。
しかし、その朝はとても心地よい目覚めを迎えていた。
何ていうか…温かくて。
小さい頃、ママに抱きしめられて眠った時と似ていたのだ。
だから、私は心底安心してしまっていた。
温もり、吐息、鼓動……あぁ、人肌ってこんなに心地いいんだっけ…………ん?人肌??
微睡みの中にいた私は目を開けた。
「ギャーーーー!!!!」
同じベッドの中で私を抱きしめるようにして眠る男………一ノ瀬 仁。
なんで同じベッドにいんだよ!!?
「ん〜……。」
男……ジンは瞳を擦りながら、ゆっくりと起き上がった。
カーテンを通して寝室に溢れる朝の光が、ジンの横顔を照らす。