「――ツバサちゃん。」
息が、出来なくなった。
あぁ。もう。本当に。
突然現れて、突然消えて……あぁ。もう。
「ツバサちゃん。」
ずっと会いたかった。
「ツバサちゃん、ただいま。」
「……おかえり。」
涙を堪えて笑う私に、ジンは両手を広げて言った。
「…おいで?」
もう、限界だった。
プツリと糸が切れてしまったみたいに、私は駆け出した。
堪えていたはずの涙が、頬を流れて飛んでいく。
抱きついた私を、ジンは抱き上げた。
桜の花が、すぐ近い所で揺れている。
「ジンっ……っ私、ジンに伝えたい、」
せっかくそこまで話したのに、ジンは私の唇に人差し指を当てて遮ってしまう。
優しい眼差しで私を見上げるジンが言った。