『どうして、カレーライスのことを…?』
私の問いに、電話越しの沢崎さんは微笑むばかりだ。
『カレーライスの約束を守れなかった、って。
食いたかったーーって。
仁はさ、変に責任感強ぇし、仕事に関しては妥協もしなけりゃ弱音も愚痴も吐かねぇ。
そんな奴がカレーライス、カレーライスって未練タラタラでウゼんだ。』
『…………。』
『……アイツは仕事でキッチリ区切りつけるまでは、絶対戻らねぇだろうな。
でも、この間なんて夜空見上げながら「あの星をツバサちゃんも見てるかなぁ」なんてさ。
気色悪ィだろ?』
『…………。』
『「ちゃんとご飯食べてるかなぁ」とか、
「ちゃんと朝起きられてるかなぁ」とか。……君のことばっかりだよ。』