「翼!」
しかめっ面の歩美に怒鳴られて、私は我に返る。
「なに?」
「なに、じゃないよ!マジで、いい加減にしてっ!」
つい今まで歩美と何の話をしていたのか、
うまく思い出せない。
考え事をしていたせいで、テキトーな相槌ばかり打っていた。
「翼っ!マジで!マジでお願い!!」
「う、うん…?」
「お願いだから、お風呂に入って!お願いだから、頭洗って!」
「…………。」
「アンタ……、もう何日お風呂入ってないわけ?」
「……さぁ。」
「翼!はっきり言うけど、○サイよ…。髪のイヤ〜なしっとり感ハンパないよ!
主人公がそんなんじゃ、そろそろ本気でマズいよ!!」
「…………。」