― 「俺さ、ツバサちゃんのペットですげぇ幸せ。」 ずっと傍にいるって言ったじゃない。 ― 「幸せだぁーー!」 瞼を閉じる。 そこに浮かぶのは、ジンの笑顔。 置き手紙は優しすぎた。 ジンは、自分のことは何も言わない。 代わりに、私の心配ばかりする。 桜の季節に拾った野良犬は、 桜が散る頃いなくなった。 私は、まだ、 その現実まで追いつけない―……。