「知ってる男もダメ。」
「拾わないよ。これ以上、ペット増やさないって。ジンだけで、いっぱいいっぱい。」
「心配だなぁ。
ツバサちゃんは、しっかりしてそうで隙だらけだし。」
「何言ってんの。もう、そんな事より、いつまでもダラダラ食べてないで。」
キッチンで洗い物を始めた私から、ジンの顔は見えなかった。
「……しっかり味わっておかないと、さ。」
だから、ジンがどんな顔をしていたのかも分からない。
この時、ジンの声が少し震えていたことにも、
気づけなかった私は最高にバカだった。
「また、いつでも作ってあげるよ。ハンバーグくらい。」
ハンバーグも、カレーライスも、いつでも作ってあげられる。
私は本当にバカだった。
「………好き、だよ。」
「ハンバーグ?本当にスキだよねぇ。」
いつでも、なんて保証はどこにもない。
私は鈍感で、大切なことには何一つ気づけない。