沢崎さんと私の間にある距離が縮まっていく。




沢崎さんの身体を押してみても、所詮は女の力。

何の意味もない。





顔を背けることしか出来ない自分…………マジでキスされる!!



思った瞬間、私は叫んでいた。









「ッ!ジンーーーっ!!」







その時、私の目の前から沢崎さんが消えた。




……正確には、飛んだ。







次に視界に入ったのは、ジンの長い足と不機嫌な表情。




……蹴ったのか?




…………蹴ったんだな。









玄関から追い出され、蹴り飛ばされた沢崎さんは背中をどこかに打ちつけたらしく悲痛な表情……。





ジンは先程の花束を持って外へ放り出すと、俯いて踞ったままの沢崎さんに吐き捨てるように言った。



「覚えておけ。次やったら殺すぞ。」




ジンは今まで見たことがないような、冷たい目をしている。



「この痴漢ヤローがっ。」






そう言って、玄関の扉を閉めようとしたジン。





しかし、沢崎さんはその扉に手をかけた。


サングラスをはずして、顔を上げる。




「待てよ……。」









ジンは振り返ると同時に沢崎さんの胸ぐらを掴んだ…………けど、
沢崎さんの顔を見た瞬間、その動きが止まった。