「これ、キミに。」
玄関の扉を開けると、帽子と更にサングラスをかけた隣人・沢崎さんがいた。
そして、ジャージ姿の私に彼が差し出した物は、赤を基調にしたガーベラやバラの花束だった。
私は呆気に取られてしまう。
だって、普通こういう時って菓子折りか何かじゃない?花束って……。
何だよ、食いモンじゃねぇのかよ……という色気もない自分は置いといて、
私はとりあえず花束を受け取る。
「綺麗ですね。わざわざ、ありがとうございます。」
「川野さんは赤のイメージ。何となくね。」
はぁ…何となく…。
口角を上げて完璧スマイルで微笑む沢崎さん。
年齢も、身長も、さほどジンと変わらなそうだけど何ていうか……対照的?
ジンは癒しオーラと優しい雰囲気、
沢崎さんは色気(セクシー?)オーラがムンムン、みたいな。