帰り際、
観月さんは玄関で私に背を向けたまま、ポツリと呟いた。
「翼様……あの男は、…あのペットは危険かもしれません。」
「はっ?」
「私、思い出せないのですが…どこかで見た事があるような気が致します。
お知り合いになられた時は裸足で外を歩かれていたという事ですし、もしかしたら………指名手配犯じゃ…。」
「……まさかぁ。」
私は、あっけらかんと笑い飛ばす。
「素性が分からない以上、何が起こるか分かりません…。もしも!何か、ございましたら、いつでも私にご連絡くださいっ!」
「はい、はい。」
「それから……“先生”の方には、うまく申し上げておきますから、ご安心を。」
「…ん、ありがとう。」
観月さんが立ち去った後、私はいつまでも玄関に立ち尽くしていた。