玄関の扉を開けると、
そこに彼はいた。
カッチリとしたスーツに身を包んでいるのに、天然パーマのせいで小さいアフロのような髪型になってしまっている。
……いつ見ても、この人は相変わらずだと思った。
人の顔を見るなり、彼は言った。
「翼様!何度も申し上げている通り、時々はご連絡していただかないと!」
声がデカい……本当に相変わらずだなぁ。
「あー、ゴメン、ゴメン。忘れてた。(←棒読み)」
「翼様!」
「どーせ、観月さんはこうやって見に来るんだから必要ないじゃん。」
「ですがっ!“先生”もご心配されますし。」
あー、あー、面倒くさい。
「“先生”ねぇ。」
「はいっ!……って翼様!!」
「なにっ!?」
「お部屋が綺麗です!どうなさったんですか!!?」
「…………。」
「翼様がお部屋を綺麗にされていらっしゃる……私!感動しましたっ!!」
随分と大袈裟なリアクションに、声を震わせて言った。
……このヤロー………。
玄関先でそんな言い合いを繰り広げている、その時だった。