「へーぇ、かっこいいじゃん。ママが自慢するだけあるわい」



一人だけ未成年の女性が混じっていた。言うまでもなく主任の一人娘だ。



「美和、ちゃんとご挨拶しなさい」


主任が優しく促した。



「おーっす!一粒種の美和でぇーすっ!よく恥ずかしげもなくそんな格好してきたな。結婚式のダサイお色直しみたいだ」


美和はぷっと吹き出してそう言った。



「何てこと言うの美和ちゃん、謝りなさい」


それだけ言うと主任は、飲み物を取ってくるわねとキッチンへ向かった。



わたしもどっちかっていうと美和の意見に賛成だったが、言い方というものがある。



「べーっだ!おいお前、男のほう。〔ビッグ〕って映画でパーティーに誘われた主人公が場違いな白いタキシードを着て現れ、笑われたシーンを知ってるか?」


美和が、ふぁんたのタキシードの裾を引っ張って言った。



「うん、でも非難する態度を取ったのは彼に嫉妬した数人だけだよ。ヒロインのハートはバッチリつかんだ」


ふぁんたは美和にウィンクしてそう言った。



「けっ、あれは映画だからだ。お前の彼女はドレスに不服そうだぞ」


美和は引き下がらなかった。



「おませさん。この人は僕の姉さんだよ」



「げっ、お前ら許されぬ恋の真っ只中か?!」


美和はそう言って数歩後ずさった。