「なにが速いだ。不意を突かれただけだ。ヨーイドンとスタートすればゼッテェ負けない」
 そうとう悔しいのだろう。風太は闘志を燃やしている。
 ホテルに着いたのは夕方だった。七夕まつりの為に道路は大渋滞。交通規制や歩行者天国になっていたりと、ホテルの近くまで来ているのになかなかホテルに辿りつく事が出来なかった。
 ホテルに着いてシャワーを浴びた。
 「七夕まつりに行こうよ」
 とてもワクワクしている。昔テレビで日本三大七夕まつりの特集を見て、仙台の七夕まつりが一番いいと思い、いつか行ってみたいと思っていた。こんな偶然ってあるだろうか?
 「そうそうこのくす玉から出ている吹流しの中を歩いてみたかったんだよ」
 天井からつり下がっている全長5,6メートルの吹流し(くす玉も含む)をかき分けて歩いた。
 「こんな物中を歩いて何が楽しいんだよ」
 文句を言って着いてくる風太はふっと消えたと思うとかき氷を3つ買ってきた。
 「自転車ゼロヨンレース受付中。参加者は総合受付まで。締め切りは6時半です」
 スピーカーから流れてきた。
 「面白そうなイベントがあるな。行こうぜ」
 隼人は目を輝かせて総合受付の場所を通りがかりの人を掴まえて聞いた。
 「あっちだって。急ごうぜ」
 人をかき分けて走って行く。前に行っては押し戻され、前に行っては押し戻される。
 「今何分?」
 人がうじゃうじゃいて、腕時計の時間も見ることが出来ない。
 「えっと、6時25分」
 「締め切りまであと5分だ。早くいぞ」
 「ゼロヨンレース間もなく受付終了です」
 「風太、お前が一番身体がでかいんだから、前を走って道を開けろ」
 「無茶苦茶言うなよ」
 そう言いながらも風太は楽しそうに笑っている「通