がら車を追いかけた。二人もあとから追いかけてくる。いくらゆっくりと走っているといっても車だ。追いつけるはずもない。だんだん車は小さくなっていく。走りつかれて道路に座り込んだ。
 「おい、大丈夫か? 身体の調子でも悪いのか」
 ロードバイクに乗ったお兄さんが心配して声をかけてくれた。
 「あ、あの車に、僕の自転車が」
 僕はゼィゼィ息を切らしながら一生懸命言う。
 「ま、間違えて、つ積み込んだんです」
 「だいたい分かった。あの車を止めればいいんだな。任せておけ」
 そういうと、ヒラリとロードバイクに跨り、ガチャガチャガチャとギヤをチェンジする音が聞こえたかと思うと、ロケットが飛んでいくかのように、カッ飛んで行った。
 「流星、行かれたか」
 隼人は申し訳なさそうに、でも、人ごとのの様にいった。
 「諦めろ。安い自転車を買ってもらえな」
 風太はなぐさめるように言った。
 「ロードのお兄さんが追いつけば何とかなるかも」
 僕はロードバイクのお兄さんのことを2人に話した。
 「いくらロードバイクに乗っていても、趣味で走っている人なんだろう」
 「期待しない方がいいぜ」
 風太も隼人も諦めてしまったらしい。
 カチッ、カチッ。車がパッシングをして停車した。
 「流星君ごめんなさいね。あなたの自転車だったんだってね」
 運転席の窓を開けて隼人のお母さんが顔を出した。
 「無事なら良いです」
 「それが…」
 バツの悪い顔をしている。車のトランクはしっかりしまっていた。自転車は積んでいない。
 僕は左右を見てから道路を横断した停車しているところまで走った。
 「本当に知らなかったのよ。ごめんなさい」
 隼人の顔を見つけると「あんたが悪いんでしょう」と、頭をおもいっきり叩いた。