私服で学校に行けるはずもなくて、もらった学ランに身を包む。
鏡に映った姿を見て、ため息が出る。
本当に男だったらよかったのに…
そしたら………そうしたら……―


誰とも目を合わせないように
誰にも話しかけられないように
足早に校舎内に入る
ほとんどの生徒が帰ってしまって、部活をしている声しか聞えない。
よかった、このまま担任に会えば、生徒の誰にも姿を見られずに済む。

「失礼します」

職員室のドアをあけると、先生たちが一斉にこっちを見る。


コッチ見ルナキモチワルイ―

担任は会ったこともないから、どの席にいるかもわからない。
知っている先生も少なくなったな…